ICUHSの”C”はChristianity

2009.3.13 えいれーねー 117号 「敵を愛しなさい -2009年卒業式式辞-」 校長 長埜 紘

敵を愛し、
あなたがたを憎む者に親切にしなさい。
人にしてもらいたいと思うことを、
人にもしなさい。自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな恵みがあろうか。罪人でも、愛してくれる人を愛している。また、自分によくしてくれる人に善いことをしたところで、どんな恵みがあろうか。罪人でも同じことをしている。
返してもらうことを当てにして
貸したところで、どんな恵みがあろうか。
罪人さえ、同じものを返してもらおうとして、罪人に貸すのである。しかし、あなたがたは敵を愛しなさい。人に善いことをし、何も当てにしないで貸しなさい。そうすれば、たくさんの報いがあり、いと高き方の子となる。
いと高き方は、恩を知らない者にも悪人にも、情け深いからである。あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい。
 -ルカによる福音書 第6章27、31~36-

Love your enemies;
Do good to those who hate you.
Treat others as you would like them
to treat you. If you love only
those who love you, what credit is that
to you? Even sinners love those who
love them. Again, if you do good only
to those who do good to you, what credit is that to you? Even sinners do as much.
And if you lend only where you expect
to be repaid, what credit is that to you?
Even sinners lend to each other to be
repaid in full. But you must love
your enemies and do good; and lend
without expecting any return; and
you will have a rich reward: you will be
sons of the Most High, because he himself is kind to the ungrateful and wicked.
Be compassionate as your Father is
compassionate.
 ―Luke 6:28, 31~36―

 

皆さん、卒業おめでとうございます。ご父母の皆様、大切なお子様のご卒業を心からお祝い申し上げます。
 三年前の皆さんの入学式で、私は次のような聖書のマタイによる福音書の第7章からの言葉を贈りました。「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい、そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。Ask, and you will receive; seek, and you will find; knock, and the door will be opened. For everyone who asks receives, he who seeks finds, and to him who knocks, the door will be opened.」そしてICU高校で、此処でなければ得られないような素晴らしいことを経験できるように求め、望んでいるものを発見できるように努力して探索し、これまで見たことのない新しい扉を開いて視野を広げ、大きく成長していってくださいと言いました。三年間の高校生活で皆さんはさまざまなことを学び経験してこの日を迎えていると思いますが、卒業後も新しい世界で、求め、探し、門をたたいて、さらに大きく成長していってほしいと思います。
 今年は、昨年末のイスラエル軍によるパレスチナのガザ地区への空爆のニュースと、イスラム原理主義組織ハマスとイスラエルが全面戦争へ突入するのではないかという不安の中で新年を迎えました。イスラエル軍の空爆は、ハマスのロケット弾攻撃に対する報復ということですが、結果として何百人もの子供たちが犠牲になり、私たちの心を痛める出来事でした。世界中で宗教を巡る戦争や民族戦争、侵略戦争、テロなどで一般市民が多数犠牲になっていますが、結局自分本位の考え方がその原因になっていると言えると思います。

 先ほど読んでいただいた聖書のルカによる福音書第6章でイエス・キリストは、「敵を愛しなさい。Love your enemies.」「自分を愛してくれる人を愛したところで、自分によくしてくれる人に善いことをしたところであなたがたにどんな恵みがあろうかIf you love only those who love you, if you do good only to those who do good to you, what credit is that to you?」と言っています。自分たちの主義主張だけを重んじるのではなく、対立する人たちのことも考えることが必要だと思います。アメリカのオバマ大統領は、就任演説の中で次のように述べています。「We cannot help but believe that the old hatreds shall someday pass; that the lines of tribe shall soon dissolve; that as the world grows smaller, our common humanity shall reveal itself. 過去の憎しみは消え去り、民族間の境界線はいずれなくなり、世界が小さくなるにつれて、わたしたちに共通する人間性が現れることを信ぜずにはいられません。」
「our common humanityわたしたちに共通する人間性」とは何でしょうか。今日与えられた聖書の言葉の最後でイエス・キリストは、「あなたがたの父が憐れみ深いように、あなたがたも憐れみ深い者となりなさい。Be compassionate as your Father is compassionate.」と言っています。皆さんが、人の心の痛みや喜びを本当に分かる人間でいてほしいと心から願っています。
 皆さんは今日卒業してそれぞれの人生を歩んでいくわけですが、それぞれの夢に向かって、希望をもって、力強く、一歩一歩進んでいってください。皆さんがこのICU高校での三年間で学び経験したことが、これからの皆さんの人生を、ますます豊かな充実した輝かしいものにしていくことを、私たち教職員一同は心から願い、お祈りいたします。
卒業、おめでとうございます。

 

Christianityトップへ戻る