ICUHS SUPER GLOBAL HIGH SCHOOL PROJECT

スーパーグローバル
ハイスクール

ICU高校では今年3月、初めてエチオピアへのスタディーツアーを開催しました。
エチオピアスタディーツアーを開催するに先立って、国際交流の最前の現場で働いてきた方からその実体験に基づくお話を聞かせて頂たり、JICAの技術研修員として日本に留学しているエチオピア人の方から日本とエチオピア、アフリカとのつながり、現地とのかかわり方についてお話を聞かせていただいたりもしました。今までエチオピアについて生の声を聞く機会がなかった生徒たちは熱心に話を聞いていました。
全ての質疑応答が終わった後その方が「あなたたちの血は何色ですか?」と生徒たちに質問しました。「エチオピアにいったら日本人の君たちは珍しいと思われるかもしれない、肌の色も見た目も違うし最初は戸惑うかもしれない。ただ忘れてはいけないことは、我々といくら見た目が違っていても同じ血の色が流れている、つまり同じ人間ということです。それを忘れずに行ってほしい」というお話がとても印象的でした。
講演が終わった後、生徒からは「エチオピアに行きたいという気持ちが高まった」「アフリカでは人と人とのつながりをとても大切にしていると思いました。特に家族の結束は強いなと思いました。年長者に対しては最高の敬意を持つという考えは日本文化ととても似ていて驚きました。話す言葉は違えど、人種は違えど、精神という部分での共通の意識をもっていることはとても嬉しく感じました。」といったような感想がありました。
外部の方をお招きする勉強会以外にも生徒たちは引率教員の先生とともに、週一回金曜日に勉強会を開催しエチオピアの歴史、経済、文化について事前学習をしました。

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予防接種、ビザの取得等を終えいざ出発。
ツアーでの主な訪問先は下記の通りとなりました。


・JICAエチオピア事務所でブリーフィング
・JICA「カイゼン」プロジェクトの現場視察(PeacockShoeFactory)
・セント=ジョージ教会
・ウラエル小学校での授業参加
・AU(African Union )本部見学
・ラリベラ世界遺産群見学
・アステルブンナ・コーヒー焙煎所見学
・コケベ高校授業参加
・ヒロキ・レザー・ファクトリー見学
・SOSチャイルド・ヴィレッジ訪問
・エチオピア国立博物館見学
・青年海外協力隊隊員との交流会
・JICA職員との交流会

中でも生徒たちがもっとも印象的だったのが、コケベ高校への授業参加だったようです。
コケベ高校はエチオピアの首都、アディスアベバ市内の公立中・高一貫校です。今回ご縁があり
訪問させていただけることとなりました。
今回コケベ高校を訪問した目的は、生徒がコケベ高校の生徒とともに半日授業を受けさせてもらうこと、文化交流の機会を持つこと

でした。

コケベ高校ではICUHSの生徒1名につき1名コケベ高校の生徒をバディーとして半日行動を共にする体制を作って頂きました。
なによりも現地高校生と同じ学校生活を体験するということ、そして日本とエチオピアの相互理解につながるような生徒同士の交流の機会を持つことができ素晴らしい体験となりました。

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途中体調を崩してしまった生徒もいましたが、現地の国際協力機関の方、旅行会社の方、通訳の方、看護師の方、引率教員のサポートもあり無事、全員笑顔で帰国することができました。
どの写真をとっても、まぶしい笑顔をみせてくれています。
初めてのアフリカ、エチオピアは生徒たちにどのように映ったのでしょうか。
ここで帰国してから生徒が書いたレポートを一部抜粋してご紹介します。


「AU やラリベラといった特別なところだけでなく、食事や学校生活など私たちが日常で行っていることにも主に二つの大きなカルチャーショックを受けました。 一つ目は手掴みでの食事です。人生の中で、パン以外手で食べたことのない私にとって、インジェラ(アフリカの主食)の存在はとても大きくてエチオピア滞在を楽しめるかを左右するものでした。味や匂いはもちろんのこと最初は手掴みというところが受け入れ辛かったです。またちょうど断食と重なってしまい思うように好きなものを食べられなかったのもつらかったです。でも食べ方を見よう見まねで覚えると楽しくて、最初は受け入れられなかった匂いもどんどん慣れて、しまいにはハマっていき日本に帰国する時には恋しくなるほどでした。ネット上では変な噂が流れていたエチオピアの食事ですが、新しい文化に出会い触れ合うことの楽しさを身体で感じることができました。
二つ目は学校においての生徒たちの態度です。七人近くが一緒に座っている一つの机に一冊しか教科書がなく、みんながそれを奪い合うかのように書き込み、ノートに写す姿、先生が質問はあるかと言えば九割の生徒が挙手をし、その日自分が感じたことを発表し周りの生徒の意見を聞く姿、休み時間は休み時間で、外で思い切り遊ぶ姿、彼らの生活から一瞬一瞬にとても必死で大切にしようと言う気迫、溢れ出る向上心のようなものを感じました。
彼らは携帯を持っていないので自力でノートに写すしかありません。また家の経済状況、個人の学力など必ずしも 全員が高校を卒業できるというわけでないとビズネさんに聞きました。しかし、私たちに関しては、授業中は寝ていても写真を撮って記録することはできるし、ある程度の学校でよければ行くこともでき、高校卒業率だってエチオピアの何倍もあります。私は自分の今までの学習に対する姿勢と彼らの姿勢を照らし合わせ、ひどく恥ずかしく感じました。
また私はエチオピアの子供達の心の広さのようなものを垣間見た気がします。教室の中には恐らくイスラム教であろうスカーフのようなものを巻いた子もいれば、首から十字架などをかけているキリスト教の子もいました。彼等にとっては互いを認めて生きていくのは当たり前なのかもしれませんが、実際今この地球上では宗教の違いで紛争やテロなど揉め事は起こっています。私は彼らが宗教なんて関係ないかのように助け合っている姿を見て、エチオピアでは小さな子供でもわかるような宗教の違いを大人が理解できず繋がる紛争などについて疑問に思いました。
たった一週間というとても短い滞在でしたが、多くのことを肌で直接体験し、日本にいたら考えもしなかったようなことを考えることができ、こんなにも生きていることに幸せを 感じた一週間はありません。住むことと短期間での滞在は全く異なることは自分でも知っている ことですが、今回のこのツアーでエチオピアが本当に本当に本当に大好きになりました。私が想像していて望んでいたよりずっと多くのことを学ばせてくれたエチオピア、そのツアーを企画してくださった全ての人に感謝しています。」

「私はこのエチオピアスタディツアーで、発展途上国に暮らす人々は決して私たちのような先進国の人々よりも意識の面で劣ってはいないことを知り、強いショックを受けました。
 最初のレポートにて、私は主に「エチオピアを知った上でその発展に貢献するため正しい支援をしたい」ということや「恵まれない女性を救いたい」という思いについて書いたのですが、このレポートの土台となったのが説明会の後にちまちま読んでいたエチオピアの経済や社会問題についての意見が述べられた記事でした。どれもおそらく現地の方が書かれたものではない、いかにエチオピアをはじめとする発展途上の国々が遅れているかがよく現れた部分のみを強調するものでしたが、その時の私はそれらを鵜呑みにし、自分では意識していないところで「日本よりなにもかも遅れているじゃないか」と見下すような気持ちがありました。
 エチオピアへ降り立った後にまず感じたことが、思っていたよりも日本と似ているところがある、ということでした。出発前にアフリカについて調べ学習をしたおかげで様々な知識を得られたのですが、普段観ているテレビ番組や広告の影響か、日本人の考えるいわゆるアフリカというような治安が悪く貧しさがにじみ出ている景色を想像しており、行きの飛行機の中でひとり不安になっていました。しかしその後実際にアディスアベバの街を見回してみて、自分は日本にいた長い間に一種の印象操作を受けていたのだと実感しました。
そんな体験の後でもエチオピアに対する優越感にも似た気持ちは心のどこかにあり、停電やバスの揺れなどによって不便な思いをするたびに、「日本は恵まれている」「日本人は幸せだ」としみじみと感じていました。そうして三日目を迎え、ウラエル小学校を訪ねたときのことでした。私は年下の子供がかなり苦手なので、一緒に授業を受けた後の休み時間にはできるだけ早く教室を出てしまおうと目論んでいたのですが、チャイムが鳴り先生が出て行かれたとともに大勢の生徒たちに囲まれて逃げ場を失ってしまいました。こちらの乏しいコミュニケーション能力ではまともに会話も成り立たず途方に暮れているうちに、生徒たちは好きな歌や踊りを見せてくれたり、こちらの歌を聴いてくれたりと申し訳ないくらいにもてなしてくれ、私も少しずつ肩の力が抜けていきました。それからまた別の授業が始まると、歌っていたときとはまた違った意欲的で真面目な表情を見せてくれたのでした。数の少ない教科書を取りあったり、席を何度も移動して分からない問題を教えたり、私たちにも分かるようにゆっくりと少しずつ説明してくれたりと、普段だらだらと授業を受けているこちらが恥ずかしくなるほどの熱意と、学ぶことに対する喜びを感じ、そこからエチオピアに対する見方と自分自身の将来に対する考えが変わっていきました。
 日本に帰ってきてから、私の通っていた小・中学校のことを思い出しました。誰もが安定した幸せな将来のために、どのようにしてできるだけ良い成績を取れるかということを常に考えて競争するさまは「皆が切磋琢磨して上を目指す学校」というような素晴らしい環境であると教えられ、私も例外なくそれが生徒の、また学校のあるべき姿だと刷り込まれたのでした。しかし今になってよく考えるとそれは間違っていると分かります。学校へ通う生徒が味わうべきであるのはテストや受験の対策のつらさと達成感ではなく、学ぶことの楽しさや喜びなのだと、ウラエル小学校の子供たちは教えてくれました。別の日にお話を伺った青年海外協力隊の方々にもそんな子供たちや若者を教え導くボランティア活動をなさっている日本人の方が何人かいらっしゃいました。慣れない土地での生活などは決して楽なものではないのだと思いますが、その方たちのような将来への強い憧れが芽生えたのでした。
また、そのような秀でた環境と意識を持つエチオピアに対して「支援したい」だの「救いたい」だの、非常に高慢な考えを無意識のうちに持ってしまったことを反省しています。エチオピアの人々の持っていた国の発展に向かっていく意欲は、今はもう日本には無いものだと思います。私の持っていた「日本に生まれれば幸せ」という考えも怪しいものになってきました。いつかまた今回は見られなかった一面や、英語力の無さによって残念ながら聞けなかったこと、伝えられなかったことのためにもう一度エチオピアへ戻ってから、アフリカの社会問題について考え直したいと思います。」


「アフリカに行こうと思えばこのスタディーツアーでなくとも、他のツアーを選択することができた。しかし私はICUのスタディーツアーを選んで本当によかったと思っている。なぜなら、共に一週間を過ごしたのがICU生だったからだ。一人一人が持つ多様な意見はたくさんの刺激を与えてくれたし、理解を深めてくれたと思う。そう感じたのはみんなでディスカッションをしたからだ。滞在中、どこからともなく、誰からともなくディスカッションが始まったことが何回かあった。時にはバスの中で、時には部屋で、みんなで思い思いに意見を交換しあった。私は積極的に意見を共有しようとする姿勢に感動したし、柔軟で多様な意見に驚かされた。ICU生は様々な価値観を持っているというが、あながち間違っていないと思う。一人一人が持つ様々なバックグラウンドは新しい価値観を生み出し、ディスカッションをより深めることができるのだ。また、どんな意見でも受け入れてくれるような雰囲気があったので話しやすかった。
 ツアーの最後に引率してくれた先生が「知ってしまったことには責任を持たなければならない」と言っていたのがとても印象的だった。その言葉は日本に帰ってきてよりいっそう私の心に突き刺さった。エチオピアに行って良い意味でも悪い意味でも衝撃を受けた。知れてよかったと思うこともあったし、目を背けたくなることもあった。けれども知ってしまったことをなかったことにすることにはできないのだ。非日常が日常に戻って、エチオピアでの出来事が記憶と化していく中、責任という言葉の重みが増してきた。そして、日本でアフリカを意識する難しさを感じた。しかし、アフリカにほころびる問題--貧困--は、決して日本に無関係な問題ではないと思った。国際化する現代社会において、求められるのは各国が連携して問題を解決していくことだ。先進国として日本も深刻に受け止めなければならない課題だと思う。目を世界に向ければそこにはたくさんの貧困がほころびているのだから。私はエチオピアに行かなければこんなにアフリカのことについて調べようと思わなかっただろうし、真剣に考えることもなく毎日を送っていたと思う。そして、日本にいる多くの高校生が同様にそうだと思う。グローバル化が叫ばれている中、日本人が目を向けるのは世界を牽引しているようなアメリカや中国、イギリスなどの大国のように私は感じている。国際社会というのは必ずしもそういう大国だけで成り立っているわけではないのだ。もっと視野を広く持って、アフリカや中東にも目を向けてほしい。私は先生が言っていた責任をどう果たしていくべきなのかまだ分からないし、何をすべきなのかも答えは出ていない。しかし、アフリカをもっと身近に感じてもらうこと、アフリカの偏見を取り除くことが私にできることだと思う。
 私は、アフリカは私たちが考えている以上に発展しているのではないかという疑問を持っていた。日本からかけ離れた未知な国なんかではなく、実はもっと近い存在なのではないか、と。ニュースや新聞で報道される内容は必ずしもポジティブなイメージを伴うものではないし、アフリカが発展途上国というイメージは払拭できない。しかし、私たちが目にする報道には限りがあるし、それが真実とは限らない。そんな思いを抱いていたが実際に行ってみて、アフリカは発展途上国という一面を持つ一方で、まさに今発展している過程にある国であることを知った。そしてアフリカがどれほど魅力に溢れた国であるかを知った。私は志望動機に「一生徒として、エチオピアを学びたい」と書いた。私のエチオピアに行く目的はアフリカを知り、学ぶことだったように思う。今振り返ると目的は達成したと思う。それと同時に今度は発展途上国でボランティアをしてみたいという気持ちが芽生えてきた。今回のスタディーツアーでは、学ぶことが中心だった。いろいろな場所に赴き、数え切れない人に会って、たくさんのことを学んだ。そして、学べば学ぶほど何かをしたい、役に立ちたいという気持ちが強くなっていった。私は小さい子どもが大好きなので、そんな子たちのために何かできればなと思った。その気持ちに気づけたことは私の中で大きかった。今までの私は特にやりたいことがなかったし、大学で何を学びたいかもわかっていなかった。しかし、やりたいことが見つかった今、それに向かってこれから努力していきたい。
 最後に、エチオピアで様々な人に出会ったが、コーヒーショップで出会ったおじさんはとてもユニークだった。近くの学校で教師をしていると話してくれたそのおじさんは流暢な英語でこう話してくれた。『千里の道も一歩から。そして君たちの一歩はここアフリカから始まるんだ。』と。人類が誕生したアフリカという地でこの言葉を聞いて私は不思議な気持ちになった。私たちの遠い祖先はこのアフリカで初めの一歩を踏み出し、そして私も同じ場所で人生のターニングポイントを向かえ、新たな一歩を踏み出したのだ。エチオピアに来て私の人生は変わったと思う。エチオピアで出会った様々な人たちは日本では到底得られないような感動や興奮、そして悲しみを教えてくれた。このような貴重な体験をさせてくれた両親、先生方、そして、このエチオピアスタディーツアーに携わってくださった全ての方々に感謝したい。私はアフリカで踏みしめた一歩を忘れずに今日も人生という道に新たな一歩を踏み出したいと思う。」


高校生という感受性豊かな時期にアフリカの大地を踏み多くの刺激を受けた生徒みなさん。五感で学んだこのスタディーツアーは一生の思い出になったのではないでしょうか。

このツアーの催行にご尽力をいただいた現地の方、関係者ののみなさまには心から御礼申し上げます。
この場をかりて深く感謝いたします。本当にありがとうございました。


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