2018年12月の終業式から2019年1月の始業式にかけて、外務省のODA出前講座や、大学教授、シリアからの留学生(大学院生)をお招きし、SGH特別講演会を開催しました。
今回ご講演頂きましたのは下記の方々です。
2018年12月20日
1年生:東京理科大学 宮武久佳先生
2年生:東京外国語大学 大学院総合国際学研究科 Peace and Conflict Studiesプログラム シリア人大学院生 ミリアム アザール様
3年生:外務省 ODA出前講座 国際協力局開発協力企画室 首席事務官 松浦 直子様
2019年1月8日
1年生:JICA 企画部 国際援助協調企画室長 井本 佐智子様
2年生:杏林大学 櫻井 裕之先生
【生徒の感想】
1年生:宮武久佳先生
・もともとあるものから創造されて新しいものができるということを聞き、まさにその通りだと思いました。みんなが知っているモナ・リザやベートーヴェンを例に取り上げていてとてもわかりやすいと思いました。
・先生の著作権に対する、人類は先代と似せて発展してたが、人類の原点はどこなのかという考えは、私もよく考えることであり非常に興味深かったです。我々は知らず知らずに著作権を侵害していますが、それはヒトという生物の習性として認知する先生の考えには創造する側と利用する側で自分の考えが変わり、違和感を覚えとても不思議な感覚でした。
・模倣の定義については疑問に思うことが前からあった。例えば美術の授業の時間。お題は自由だったから、何でも描いても良かったのだけれども、どんなアイディアを思いついてもどれも何かをマネしているのではないかという考えがあった。しかし講演会を聞いて創造性というものはコピーからはじまるということがわかった。これからは色々な作品を見て、表現力の根底を身につけていきたい。
・学校生活を通じて「自分らしさ」とは一体なんだろうと考える機会が増えてきました。考えてみると、自分の考え方や話し方も今まで出会った誰かの影響を受けていて、完全な自分のオリジナルであるといえるものは本当に数少ないような気がします。今回の講演では実際にたくさんの芸術が模倣から生まれてきていることを学び、模倣は完全なる"真似"とは違い、その人自身のインスピレーションの源泉であること、そして人から様々な影響を受けられることは、むしろ大切なことで、その中でこそ「自分らしさ」が形成されていくという新たな視点を得ることができました。
2年生:ミリアム アザールさん
・アザールさんは日本に留学したいという気持ちを強く持ち、優秀な成績をとったが戦況の悪化などでそのチャンスを失ってしまった。戦争はたくさんの人を巻き込み、悪影響を及ぼすものだというのは知っていましたが、実際にアザールさんの体験を聞いて、強く実感しました。何度もチャンスを失ったが、アザールさんはあきらめず、日本への留学という夢を叶えた。夢や信念はあきらめず、努力すべきなのだなと実感しました。
・シリアという国名をあげられても、首都と内戦があるという情報ぐらいしかわからなかったが、政教分離をしていること、リンゴが安いこと、イスラム教の女性は皆スカーフを巻いているわけでないことなど学べた。メディアで報道される多角的なうちの一面だけを見て先入観を持っていたが、取り払い、新たなものの見方を得られてラッキーでした。
・偏見を持つことで、言葉が通じる相手ならともかく、言語の異なる相手では認識の違いが生まれてもその認識を改めることが難しくなる。この話を聞いて、偏見を疑うことの重要性を感じた。ミリアムさんのような方が実際に講演してくださることでそのチャンスを得られると思いました。
・一つの物事を多方面から見ることの大切さを知りました。一番被害を受けている人たちが、知識のなさゆえに加害者といっしょくたに扱われたり、イメージだけで決める付けることの危険性をすごく感じました。
1年生:JICA井本佐智子さん
・JICAの行っている支援活動が難民や貧困で苦しむ人を助けるだけでなく、後に国が発展し豊かになるような支援の仕方をしているという点にとても感銘をうけました。また他にも中・日・米・独を含む10ヶ国の経済上位国の合計の値が全世界の2/3を占めると知った時、まだ世界の経済活動・状況に差があり、フェアな世の中になっていなかったのだなとびっくりしました。JICAのような組織や様々な団体(個人も)がもっと世界に広がったらもう少し経済のバラツキが減るのではないかなと思います。
・インドのデリでの鉄道工事で日本の技術でインドの発展を助けるだけではなく、インドの人々に正しい工事のやり方を教えるという取り組みも行われていて、とても良い国際協力の方法だと思いました。難民に対する支援では、難民だけではなく難民を受け入れている国の援助も行われていて、いろいろなことに目を向けられるように視点を変えて、世界にある課題を解決しなければならないと思いました。それぞれすばらしい技術を持つ国々が協力することがとても大切だと思いました。
・世界一の頭脳とお金が集まる場所のすぐ後ろにはとても大きなスラムが広がっていることに世界の二面性を感じた。「支援」ではなく「支え合い」であることで今後のパートナーシップ(対等な)を築くことがこれからの国際社会では大切だということが分かった。
・日本の男女格差について仕事と家庭の両立や少子化の変動などの疑問を感じました。ただひたすらに女性の権利拡大を心がけるのではなく、「女性が労働をしていても違和感のない社会」であると同時に「男性が家事をしていても違和感のない社会」を目指していくことが重要だと感じました。
2年生:櫻井 裕之先生
・将来何になるか、を考えて勉強をし始める時期なので、とてもためになるお話でした。勉強することで、「読む」ことや基本的な世間で最低限知っておかなければいけないことを学ぶ。そして学校で様々な人と関わって経験値を積む。こういうことがきっと大人になって役に立つということを再認識することができました。私も、それを実感することがよくあるので共感することができました。
・学問の本質とは何ぞや、ということを少しだけ知ることができたような気がした。勉強は学生時代しかないもの、と多くの人が思いがちだが、生涯にわたって必要になってくるツールなのかなと思った。大学では様々な分野の要素を自分の目で見て、自分が何になりたいのか、何をしたいのかを少しでもはっきりさせられるようにしたいと思った。
・とても貴重なお話を聞けました。個人的には、英語を使って学ぶということがグローバルではなく、むしろ母国語の日本語でものごとを理解し論理的に説明できる能力をつけることが重要だとおっしゃっていたところが響きました。企業などで英語を公用語にすることにも疑問に思っていたところを納得できる説明とともに聞けたのでどこかすっきりしました。
・最近なぜ勉強しなくてはいけないのか、と自問自答することが多かったので今日のお話しは自分にとって意義あるものとなりました。大学受験が迫りつつある今、大学に入る為にこれをしよう、あれをしようと、目先の利益しか目に入ってないけれど、実際に大学以後の自分の人生に意義があることを、自分が本当にしたいと思っていることをしようと思いました。高校の勉強も試験の為に勉強するのも大事だけど、やはり日頃の努力が大事だなと思いました。
3年生:松浦 直子様
・「国際協力が政府だけの仕事ではなく,身近な取組である」というのは本当にその通りで,一人一人がそういう意識を持つところから始めることがまず大事なのではないかと思った。それが,世界中で助けを必要としている人たちを少しでも救う第一歩になるのではないかと思った。
・世界各地に援助を行っていること,援助までのプロセスや葛藤などを聴くことができて良かった。現場での治安によって事業が中止されるなど,たいへんなことがあることも分かった。
・正直,海外の人よりも先に国内の人を助けるべきなのではと思っていたが,海外への支援も日本にちゃんと返ってくるのだと理解した。国同士のつきあい方でも,お互い人と人であるから助け合いは大切だと思った。
・無償資金協力に関して特に感銘を受けたが,円借款については,その国の為替相場,周辺各国の状況によっては,簡単に状況が変わると思う。その場合の対策についてどうなっているのか気になるので,国民に分かりやすい説明をしてほしいと思った。
・グローバル化が進む中で,他国と良い関係を築くことは大事だと思う。その中でも,ODAの活動は,他国との関係を良くすることにおいて重要な役割を担っていると感じた。ただ単にお金を使って支援するだけでなく,支援される国のことを考え,持続的に発展できる環境を作っていると思う。
・継続的な支援をするためには,その国の経済状況や需要に応じて,どのくらい,何を渡す,または貸すのかを具体的に決めなければいけないということを実際に聞き,国際協力の現場に立つ人は語学力だけでなく,その国への深い理解と真摯な態度が必要なのだと改めて思った。同時に,外交官という仕事にすごく魅力を感じた。