1月の始業式後、SGH記念講演会を開催しました。今回は、1年生はICUの「外交・国際公務員養成プログラム」アドヴァイザーの森田宏子氏、2年生はICU高校の卒業生で国際交流基金勤務の篠原由香里氏を講師にお迎えしました。
森田さんは、高校時代を米国で過ごしたのち、日本に帰国し、ICUに入学。学生時代のアルバイトの話や、国連での長いキャリアを始めることになる経緯、開発途上国の現場とNY本部での仕事の経験談など貴重なお話を聞くことができ、国際機関で働く際に大事なことは何か学ぶことができました。
生徒の感想から:
国連の会議の内容、国連の職員の仕事は、知識として知っていたものより、とても多様に感じた。その場で感じる雰囲気や、裏話など、とても面白かった。
ICUに通っていて、本当に自分の世界が狭いなと感じています。ずっと日本にいたのに中学生の頃は家と学校と塾しか通わない生活をしていたため、日本のことを十分に知っているという状態ではないことを実感します。森田さんのお話をきいて、国連で活躍するには最低限自分の出身の国のことくらいは知っておかなくてはならないと思いました。
共感できたことの一つは、「常に人に代表として見られている」ということだ。海外に住み、インターに通ったことがある僕は、今でも国名を聞くとそこ出身の友達や知り合いをイメージしてしまうし、彼らのイメージがついてしまうこともある。自分も日本や[自分に関係する国]の代表という自覚をもって生きていきたいと思う。
(将来のキャリアとして)国連を目指すと考えると、どんな経験をつめばよいのかわからず、悩んでいましたが、ボランティアやバイト、インターンシップ、外から日本をみつめる体験など、より自分の視野や価値観をひろげることに挑戦し、自分の好きなこと、やりたいことをみつけていくことが大切なのだとわかりました。また、語学の習得がいかに大切であるか、そこで学べる要点をつかむことの大切さもひしひしと感じました。
開発現場でのルール[心得]で、「どんな相手でも尊敬(respect)の念で接する」「言葉が通じなくても相手に伝えようとする姿勢」などのルール/大事にされていることは、今、自分の人生でとりくめることであり、これからもっとmindful、意識しようと思いました。
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スペインからの帰国生としてICU高校に入学した篠原さんは、海外のインターナショナルスクールで過ごした際の経験、そしてそれがいかに国際交流基金での仕事につながっているのかをお話くださいました。パブリック・ディプロマシーの考え方や、国際交流の具体的なプロジェクトとその裏方としての幅広い実務のお話を通して、国際交流とは何なのか考えを深める貴重な機会になりました。
生徒の感想から:
最初に篠原さんの言っていた、彼女がスペイン在住中に感じた「出身国のイメージがスクールカーストに影響する」という考えが、パブリック・ディプロマシーと彼女の今の国際交流という仕事にとても関連付けられているのがすごいと思いました。しっかり帰国子女として、海外での経験を後の人生、日本での生活に生かしていると感じて、あこがれました。
(現代世界では)...多文化社会や異文化理解、グローバル化、個々の文化・言語の保全など、様々な価値観の「違い」が露呈し、その「違い」が相互の衝突を激化させているように感じる。今回「違いではなく、同じ部分を理解することが大切」と篠原さんがおっしゃっていた。ICUという様々な文化・言語が混在する世界の中に放り込まれてから、今まで私は他者とは違うことを理解することが最も大切だと考えいた。しかし、その違いが生んでいる問題は、それだけでは解決できないな、と。改めて「同じ」を見つけることは難しいけれど、とても大切だと感じた。
(篠原さんが大切だと話していた)人の話をよく聞くということは普段やっているように思えてよく考えてみればあまりできていなかったような気がした。他の人と意見が合わない時、そもそも自分と相手の前提が違うかもしれないということは考えたこともなかった。...今まで自分の中で国際交流というものは自分の国の良さや文化を相手国に伝え、逆に自分は相手国のことを知る、みたいなものだと思っていたが、違いを伝えるのではなく同じ部分を伝えたり感じたりすることなのだと知ることができた。
(自分が海外にいたときも、滞在地と)日本の交流を目的としたフェスティバルなどがありましたが、それらのイベントの裏では、篠原さんのような方々が長い時間をかけて準備してくださっていたのだなと思いました。(お話を聞いて)好きだけど苦手なことや、嫌いだけど得意なことを、好きになったり、得意にしようと思えて、将来の幅が広がったなと感じました。
森田さん、篠原さん、ありがとうございました!