ICUHS Global Learning Programs

2015年度夏、ICU高校では国内外で様々なスタディーツアーが開催されました。今年度からはSGH本校独自のプログラムも開催され多くの生徒が関心を示し、参加してくれました。
今後、このページを通じていくつかのスタディーツアープログラムを紹介していきたいと思います。
今回ご紹介するのはベトナムのスタディーツアーです。
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ベトナムへのスタディーツアーは今回、ICU高校が初めて開催したオリジナルスタディツアーとなります。
SGH課題研究のテーマである「多文化共生社会への貢献」を体験的に学ぶツアーとなりました。
主なプログラムは、

①ストリートチルドレンの救済のための施設の訪問、交流、ボランティアワーク
②ベトナムの高校生との交流プログラムを体験
③ベトナムの少数民族を訪問   
④世界遺産や戦争博物館の見学等   

です。
2015年7/24~7/31の期間で開催され参加人数は20名となりました。ツアー終了後、生徒にアンケートに回答してもらいましたので、ここでいくつかの声をご紹介したいと思います。

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Q1.今回のスタディーツアーに参加しようと思った理由はなんですか

・「東南アジアの今」をみて感じたいとおもったから
・ベトナムに行ったことがなく興味をもったから
・アジアの国々途上国などに興味があったから
・家族旅行ではなくボランティアなどで行きたいと思っていたところ、SGHプログラムでベトナムを見つけたので参加した
・スタディーツアーと初めて聞いて、どんなことをするか分からなかったから、楽しそうだから
・ボランティアに興味があったため
・海外の人とふれあってみたいという気持ちとアジアへの興味があったあら
・普通のツアーではいけないところ、体験できない所があるから。色んな世界をみるため
・貧困問題を自分の目でみたかったから


Q2.今回のツアーを後輩に勧めるとしたら一番強調したい点はなんですか

・「ベトナムの今」をがっつり知ることができる点
・少数民族のカトゥー一族に会えること
・言葉は通じなくても会話はできる上に心も通じ合える点
・自分の途上国だったり少数派民族に対する考えがどれだけ的外れだったか分かる
・言葉が通じない国にいって交流すること
・他国のことを学ぶことで日本について気が付くことがある
・戦争跡博物館
・日本にいたらなかった、たくさんの人との出会い、人のあたたかさ
・"子どもの家"の子ども、少数民族、現地の高校生、旅行では決して会えない多くの「人」と出会えるところ!!
・"子どもの家"の子どもたちと言語が通じなくてもコミュニケーションがとれるという新しい交流のしかた


上記にもあった「子どもの家」についてのお話を少しさせていただきたいと思います。
「子どもの家」とはベトナムの世界遺産の街、古都フエの一角にあるストリートチルドレンを自立支援させるための施設です。
NGO 団体JASS(ベトナムの「子どもの家」を支える会)は、元小学校教師の小山道夫さんが設立し、ストリートチルドレン救済や貧しい学生に奨学金を与えるなど、様々な活動を20年以上にわたり行っています。様々な背景をもつ子どもたちに衣食住を与えるだけではなく、将来子ども達が自立をできるように日本語学校、日本料理店運営などいろいろな活動を行っています。
勉強が好きな子どもには大学進学から卒業までお世話をしたり、勉強が好きではない子どもには手に職をつけることができるよう職業訓練センターを設立し支援もしています。今回のスタディーツアーでは、こちらの「子供の家」に訪問し、ICU高校の生徒たちは施設の子どもたちと一緒に文化交流をしたり、ボランティア活動などをしました。
とても心に残る貴重な体験ができたようです。

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学校自体が多文化社会であるICU高校の、SGHの共通のテーマは「多文化共生」です。
今回、その点についても生徒たちに聞いてみました。


Q3.学校自体が多文化社会であるICU高校の、SGHの共通のテーマは「多文化共生」です。今回のツアーと「多文化共生」を関連づけて、考えたことを書いてください


・「多文化共生」のためには、自国の文化をまず理解することが大切。今回のツアーでベトナムの高校生に「日本文化について話して」と言われたが思うように話せなかった。他を理解するためにまず自分を理解しなければと思った
・ベトナムは多文化共生があまり進んでないように思えた。今回訪問した少数民族は元いた都市部を追い出され山奥にいるのが現状。その背景には複雑な歴史的要因があるとはいえ多民族国家としては多数派と少数民族のつながりを友好的なものにし、本当の意味での多文化共生を目指すべきだと思いました
・文化には衣・食・住や歌・おどりなどたくさんあります。今回は歓迎会などで私たちはソーラン節とふるさとを披露しました。また、現地の人々は少数民族の踊りや歌を披露してくれました。言葉は通じなくても、文化を共有することで共生できるのだと思います
・自分の日々の生活の中で絶対思いつかないような出来事が起こったときに「こわい!」とか「絶対無理!」と排除したくなる時が多々あったが、それを一つずつ受け入れていくことが最終的にみんなの共通理解になると思った
・ベトナムにも少数民族問題があるように、日本にも民族問題は存在することに気がつきました。グローバル化を見るときに海外に目を向けがちですが、日本もグローバル化の一部分にいるのだと思いました。民族問題は発展途上国だけでなく日本にもあるようなグローバルな課題なのだと気づきました
・ベトナムは社会主義によって宗教や反対運動などは弾圧され少数民族は年からは隔離された生活を強いられている。だからこそ多文化共生がいかに難しいのかを痛感させられた
・今回ベトナムの子どもたちとスポーツや遊びを通じてほんの少し「共生」できたような気がした
・ベトナム人と触れ合うことでベトナム人や社会のいいところ、悪いところがみえた。そのことで、日本のいいところ、悪いところもみえてきました。そしてICU生は自分の帰国してきた国を考えたと思います。そんな風に考えていると、ICUHSはすごい空間だと思います。それでもいつも皆が自分でいられるのは広い心を理解しようとする気持ちが皆にあるからだと思います。その国の良い面も悪い面も過去の歴史の影響などがあります。多文化が共生するにはそういった思いやりや気持ちが必要だと思います。ICUHSはすごい!
・難しいと思われがちな多文化共生も、肩の力を抜いて一歩踏み出せば案外簡単にできるかもしれないこと、言語がわからなくても、ちゃんと伝えようとすればちゃんと受入ようとすればできること
・今回のツアーでたくさんの文化の異なる人々と触れ合いましたが、やはりどれだけ文化が違っても、同じ地球上に住む人間として共通しているものはあり、互いを尊重しあい、思いやる気持ちさえあれば、争いのない多文化共生社会をつくることは可能であると思う


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同じツアーに参加しても生徒一人一人が感じたことはそれぞれだということが上記からも感じとれます。
ベトナムから帰国したときに、とても楽しかった!貴重な経験だった!帰りたくなかった!と笑顔で教えてくれました。「多文化共生への社会貢献」への大きな第一歩を五感を通じて踏み出しました。