ライティングセンターについて

理念

ライティングセンターとは、チューターとの対話を通して、書き手が自分でよりよい文章を書いていけるようにサポートする文章作成支援の機関です。

添削指導とは異なり、作品の完成度よりも書き手の成長を目指すこと、書くというプロセス全体に関わることが特徴です。アメリカの大学で1970年代より広がり、2000年代以降日本の大学でも導入が増えています。ICU高校は日本の高等学校初のライティングセンターを2010年にスタートさせました。

これから学問の世界に飛び込み、やがて社会で活躍していく生徒たちにとって、言葉を用いて自分の考えを発信する力を身につけることは重要です。
ライティングセンターは各教科や図書館とも連携しながら、チューターとのセッションや様々な情報提供を通じて、生徒たちの書き手としての成長を支えます。

ライティングセンター

活動内容

ライティングセッション

大学生・大学院生のチューターによる一対一のセッション。
質問や対話を通して、書き手の意図を明確にし、書き手自身がよりよい文章にするための選択ができるように支援します。利用時間は平日の放課後で、一回のセッションは20分。授業レポートや志望理由書、スピーチ原稿にオリジナル小説など、書くことに関する相談であればどんなことでも受け付けています。
2012年度より日本語に加えて英語の対応も開始しました。題材とする作品の言語はもちろん、セッションの使用言語も日英から選ぶことができます。現在、年間のべ200名ほどの生徒が来室しています。

資料・リソース

ライティングセンターには書くことに関する資料を備えています。
辞書・シソーラス・参考書などに加えて、チューターが生徒のために作成したオリジナルのプリントやワークシートが準備されています。
(例:小論文の書き方、パラグラフ・ライティング、参考文献の書き方、引用の仕方、表現力ゆたかな文章を書くには、情報検索の仕方、How to Write Intelligible? など)

文集発行

生徒文集『WRITING IN PROGRESS』を毎年1回発行。学校生活の集大成として、各教科で書かれた生徒の文章の中から優れたものを集めています。
多様な内容の文章は本校生徒の多様性を反映しており読み応えがあります。入力・編集作業にはボランティアの生徒が協力してくれています。

イベント

書くことに関するイベントを実施しています。
これまでに、書くことを職業とする方を講師に招いての講演会、志望理由書を書く予定の生徒が自分の興味を見つけるためのワークショップなどを行いました。

過去の開催例

2010年11月 イベント「針谷卓史が語る作家道」
講師:針谷卓史(本校教諭・三田文学新人賞作家)
2011年6月 イベント「ICU高校書評王決定戦」(図書館共催)
講師:豊﨑由美(書評家)
2011年7月 イベント「取材学入門」(図書館共催)
講師:藤井誠二(ノンフィクションライター)
2012年2月 イベント「自分の興味を知ろう」
講師:ライティングセンター・チューター
2013年6月 イベント「コピー厳禁!?な、コピーライターのお仕事」(図書館共催)
講師:金そよん(コピーライター)
読書会@Library(図書館共催)
課題図書『数学文章作法・基礎編』結城浩著・ちくま文庫

沿革

2010年1月 ライティングセンター設置準備開始  
2010年5月 ライティングセンター開室 チューター2名、週2日
2010年9月 文集『ショートストーリーズ』発行 チューター2名、週3日
2011年4月   チューター3名、週4日
2011年10月 文集『WRITING IN PROGRESS』創刊
(毎年1回発行)
2012年4月 英語対応開始 チューター4名、週5日
2013年5月   チューター5名、週5日

生徒・チューター・教員の声

生徒の声

  • 話すと思いのほか、まとまる!!人に話す、説明するということがどれだけ頭の整理に役立つか気づきました!
  • 自分の言いたいことに気がつけた。
    今日書いたマッピングをもとに、文を書いてみようと思います。
  • 質問されると自分では考えの及ばなかったことについて考えられる!行き詰まっていたのが晴れたような…!
  • 他の人に文章を読んでもらうことで自分の文章がちゃんと意味の伝わる文になっているか確認できた。
  • モヤモヤしていた文章がすこしクリアになった。
  • とても優しく、丁寧に教えてくださり、反論の意見も増えて助かりました。また、参考文献の資料探しについてもアドバイスをもらえてよかったです。

チューターの声

  • 「この段落で言いたいことはなんですか?」「この文章でいちばん大事なところはどこに書いてありますか?」チューターはこうした質問を生徒に投げかけ、自分が書いた文章を自分で見直してもらいます。そして、どのようにしたらよりよい文章表現や構成ができるか、一緒に考えます。
    学びの中心は生徒自身です。チューターは、一方的に答えを教えるのではなく、生徒が自分で文章の書き方を学び、考えを深めていくことができるように支援を行っています。
    また、ICU高校には実に多様な生徒がいます。生徒の反応を見ながら、生徒に合った質問やアドバイスが細かくできる点も、ライティングセンターの強みです。
    (チューター・I)
  • ライティングセンターでは、生徒さんが自ら気付く手助けをします。
    例えば、小論文の書き方がわからない場合には、生徒さんは、先輩が書いた小論文を読み、そしてチューターから問いかけられることによって、小論文の構成や書くべき内容に気付くことができます。
    また、自分の主張を理由付ける方法がわからない場合には、生徒さんが良く知っているテーマ、例えば好きなドラマや歌手、をテーマとしてチューターと対話することによって、理由付けの方法を理解することができます。
    このようなセッションを通じて、生徒さんは自分が知らなかった能力に気付き、書くことに対する自信を深めていきます。
    (チューター・S)

教員の声

  • 論理的な文章で主張を展開するというトレーニングを授業以外の場面で数多く繰り返し実践的に受けるということが、極めて重要と考えます。
    また、生徒が書いたものをお互いに読みあうこと、交流し合うことも極めて重要です。本校の理念や教育目標にもつながるところと考えます。
    また、学校という場ならではのはたらきです。書き、読み、共有する。そして多様性を受け入れる。WCが、そのようなはたらきを支える大切な核心部分のひとつであればいいなと思います。
    (地歴公民科・N)
  • 生徒が書く力を伸ばしていくために、教員との対話や生徒同士の対話はいずれも意味がありますが、教員でも生徒でもないチューターとの対話がもつ効果も大きいと思います。
    授業外で第三者に読んでもらうことにより、読者の視点を得て、自分の文章を客観視できるようになるようです。熟達した書き手の先輩として、チューターの皆さんは私たち教員にはできない働きかけをしてくれているのだと思います。
    生徒ひとりひとりに対して、時間をかけて。このような貴重な場が十分に活かされることを期待しています。
    (国語科・N)
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