Graduates' Voice

卒業生からのメッセージ

Message 16
鶴薗 宏海

鶴薗 宏海

30期
筑波大学
日本放送協会(NHK)「ダーウィンが来た!」ディレクター

ICU高校に入学を考えているあなたへ。卒業して早10年 社会人として働いている身ですが、そんな私にとってもICU高校で過ごした三年間は今の私を形作る大切な種が芽吹いた時間です。どんな種かというと「相手の気持ちになって物事を尊重する姿勢」です。

私は小学校3年~中3にかけてイギリスのノッティンガムに住んでいました。帰国後日本の中学校に半年間だけ通い、帰国生入試を受験し入学しました。半年間通った埼玉の市立中学校の生活は楽しかったですが、周りが自分を見る目が変なモノをみる視線だなと感じていました。海外で生活していた時は、現地校で唯一の日本人だからか、何故か勝手に日本代表のような扱い。歴史の授業では第二次世界大戦当時の日本軍の心境を説明せよという無茶ぶりを指名される。というようなことは海外に住んでいる経験がある人には珍しくはないと思います。ただ故郷であるはずの日本に帰ってきても今度は帰国子女・イギリス育ちの変わった奴というレッテルを張られて扱われていることに違和感を覚えながら日本人のはずなのに自分はいったい何者なのか?と感じていました。

ICU高校に入学してからはその違和感は一切覚えることが無くなりました。世界中から集まるというと大げさかもしれないですが、海外出身なのは珍しいことではなく多様なバックグラウンドを持っていることが当たり前だったので皆がリスペクトされている空間だからです。互いに敬意があるからこそ、「あいつ変わっているね」という一言では終わりません。彼・彼女はどんなバックグラウンドを持っているのだろう?そもそもなんで自分はそう思ったんだろう?というように自然に興味を持って、相手の立場に立って物事を考えて接するようになりました。

そしてICU高校のキリスト教概論というすべての生徒が受ける授業の中でこの姿勢の根源と言える一つの答えが一文字になって現わされます。それは「愛」です。

他者に先入観なくお互いが多様であることを前提に思いやりを持って人と接する、つまり愛をもって人・物事と接するというICU高校で培った経験は社会で働く中でも大切なことだと痛感しています。現在私は日本放送協会のディレクターとして自然番組を制作しています。世界中の動物や自然について調べ、撮影し、編集し、台本を書いてテレビで放送し世の中に届ける仕事です。関わる人たちはあらゆる国と地域にいますし、被写体は言葉を話さない動物が相手なこともしょっちゅう、そもそも視聴者の気持ちを考えて作らないと、共感して面白いと感じて見てもらえるコンテンツも作れません。では日々何をしているか?というと、自分の番組は視聴者に届けるラブレターだと思って、取材先へのメールや、アナウンサーに読んでもらうコメント一つ一つに愛・情熱を込めて制作しています。

ちょっとクサくなりましたが、そんなことを自由に大真面目に学べるICU高校に飛び込んでみてはどうでしょうか?あなたなりの愛を見つけるきっかけになるかもしれません。

(2019年)

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「いたー! メガネグマ!!」

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