Graduates' Voice

卒業生からのメッセージ

Message 07
海寶 慎太郎

海寶 慎太郎

33期
東京工業大学大学院修士課程

高校を卒業後、私は自らの理系という特性を生かしつつ、グローバルに活躍できる道を探してきました。大学院生になった今、私は再生可能エネルギーの研究をしつつ、フィリピンの現地の方々と貧困改善のための活動を共にしております。今の自分があるのは、大学で本当にやりたいことを追求してきた結果だと思っていますが、ここに至る道の原点はICU高校で過ごした日々にありました。

ICU高校は私に、自分らしくいることの大切さを教えてくれた場所でした。一般生で入学した私は、公立小学校、公立中学校と日本の義務教育で育ち、それまで目立つことに対し消極的で、人と違うことは避けるべきだと考えていたのだと思います。そんな私を変えてくれたのが、自分の個性に自信を持ち、いわば変人であることをポジティブに捉えているICU高校の友人たちでした。そんな友人たちに感化され、私自身も3年生時には手押車で肥料を運び中庭で畑を耕したり、人の誕生日をパイ投げで祝ったりと随分好き勝手なことをしました。恒例のハロウィンの仮装にも三年生でやっと参加することができました。入学時に不安で震えていた私からしたら、とても大きな成長だったのでないかと思います。

高校を卒業する頃には、自分の本当にやりたいことは何かと意識するようになりました。特に帰国生の友人の影響から、海外を見てみたいという気持ちが強く湧き上がり、工学を用いた国際協力を勉強する国際開発工学科に進学しました。大学では工学部でありながら英語ディベートに熱中し、毎年のようにイギリスやデンマークへも留学しました。人と違う活動をする中で徐々にレールを外れることを恐れないようになりました。自分独自の道を貫き、自分の個性を楽しむことができるのはICUHS生の強みなのでないかと思います。

今、私が活動を共にするフィリピンの方々に出会ったのは、4年生の夏でした。太陽光パネルの現地調査で訪れたフィリピンの孤島、そこで島の方々と話し、彼らの生活の過酷さを知りました。今考えると安請け合いですが、何かできることを探してみると約束し帰国しました。帰国後NPOの方と話し協力を得て、企画書を作り、助成金を申請し、プロジェクトが動き出しました。翌年4月には現地で協同組合を設立し、今はマイクロクレジットを通して、島の方々の海藻農業の拡大に取り組んでいます。実際の世界というのは自分が描いていた空想よりも過酷で失敗も多いですが、とても充実して新しく考えることが沢山あります。

高校入学当時の私から見れば、今の私はかなり変人なのでしょう。しかしICU高校は変人であることが許される場所です。今になって、私は自分の本当に好きなことを追求することの難しさをひしひしと感じています。何よりも人と違うことをするというのは、今でも不安です。しかし、その道こそ本当に楽しいということをこの学校は教えてくれるでしょうし、自分次第でそのための力も得られる場所です。後輩の皆様もぜひこの学校で自分らしさを磨き、世界に羽ばたいていくことを願っています。

(2017年)

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フィリピンの海藻農家の方々と

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